災害被災者支援は「モノよりお金」
(とくに海外被災者支援は…)
支援ノウハウに長けた信頼できる組織・団体を通じて
報道によれば、トルコとシリアを襲った大地震で、トルコ当局は2月22日、国内で4万3556人の死者が確認されたと発表。隣国シリア側では、在英の反体制派NGO「シリア人権監視団」が死者数が6747人に達したと伝えたという。両国の死者は、合わせると5万人を超えた。
地震発生(2月6日)から2週間以上が経過し、死者数はさらに増えるとみられ、内戦下にあるシリアはもとより、両国の被災者の生活環境、衛生環境の悪化が懸念される。国連人道問題調整事務所は、反体制派が支配する北西部では4万9千人近くがコレラ感染が疑われる、と発表したという。被災者支援が緊急課題となっている。
災害被災者支援は近年では「モノよりお金」とされる。被災者が必要なモノを届けるのが本来の支援だが、被災者のニーズは時間の経過とともに変わるため、支援ノウハウに長けた信頼できる組織・団体へのお金の支援を通じて被災者に必要なモノを現地調達してもらうことが合理的な支援となる。
トルコ・シリア大地震のような遠地での大災害で、かつ政治的紛争地域も含まれるとなれば、個人による支援は専門組織・団体を通じないとむずかしいことになる。
●被災地支援 「義援金」と「支援金」の違いとは
お金の支援について予備知識だが、いわゆる用語としての「義援金」と「寄付・募金」には厳密には違いがあり、義援金が「被災者一人ひとりに分配されるお金」であるのに対し、寄付・募金は「被災地で支援する活動に役立てられるお金」とされる。基本的には、被災者にお金を直接届ける形(公的機関・団体を通じて)での支援なら「義援金」、現地の団体・スタッフの活動を支える形での支援なら「寄付・募金」を選ぶことになる。
なお、「義援金」は被災者へ確実に公平に届ける必要があるため、公的機関が扱うお金となり、事前に決められたプロセスを経るため時間がかかるものの、安心できるルートで確実に被災者に届られる。
いっぽう、あえて「支援金」という用語が用いられる場合は被災地で活動する非営利団体に送る寄付金の意味で、各機関や非営利団体の判断によって、人命救助やインフラ整備などの復旧活動に役立てられる。
つまり、支援金の使い道は支援先団体に任せることになり、各団体ごとに支援金の使途や収支の報告を行なって透明性が確保される。被災者のニーズに対して、各機関や団体がそれぞれの判断と責任において柔軟に使用できるためすぐに活用されることになる。
なお、寄付や募金は、広い意味だと支援金で、いずれも「被災地で支援する活動に役立てられるお金」となる。被災地での復旧活動や人命救助などに役立てられ、義援金よりも速やかに活用されるというメリットがある。
●国連関連機関など公的支援機関への義援金、支援金なら…
以下、応急的に本紙がピックアップしたトルコ・シリア大地震被災者支援の公的機関へのリンク例だ。文末のNHKサイトでさらに詳細リスト・情報を得ることができる。
・東京ジャーミイ・ディヤーナト トルコ文化センター(トルコ政府宗務庁が管理)
〈2023. 03. 01. by Bosai Plus〉