災害周年は災害教訓の更新好機
広域・複合・都市災害としての関東大震災
1923年関東大震災から100年――
2023年は通年で大規模災害への想像力駆使を迫る
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●「災害周年」――記憶の継承と更新のために
関東大震災から100年 “常在防災”で備えのアップグレードを
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私たちは大災害の教訓を振り返るために「周年」ごとに、その記憶を思い返し、教訓を継承すべく努力を積み重ねてきた。「災害周年」とは、その意味において、決して一過性の暦上の記念日ではなく、自然災害を思い起こし、その教訓を検(あらた)め、新たな防災意識の継承と更新の日として銘記されるべき日、あるいは年となる。
言うまでもなく災害経験・被災体験は多くの人びとにとって低頻度であり、大規模災害ともなれば、私たちは一生のうち一度も経験することがないかもしれない。しかし、これまでのわが国の有史以降において起こった大災害の数例をあげると(もちろん、中小規模の災害は列挙しきれない)、古くは貞観地震・津波(869年)、近くは富士山火山宝永噴火(1707年)、安政江戸地震(1855年)、さらに近くは関東大震災(1923年)、先の大戦末期から終戦直後に連続発生しいずれも死者1000人以上を出した4大地震(1943年鳥取地震、1944年昭和東南海地震、1945年三河地震、1946年昭和南海地震)、気象災害としての伊勢湾台風(1959年)、そして現代に至っての阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)などがある。
このように、1000年、あるいは数百年、そして数十年、数年の間隔を“ものともせず”(1000年ぶりの大災害ですら、明日・今日にも起こり得る“自然の寝返り”として)突発する大災害は、だれもその発生を予知できない不条理な事象なのだ。
となれば「災害周年」は、私たちに常に備える――“常在戦場”ならぬ「常在災害=防災」を喚起させる周期的・定期的なリマインダーとなる。「災害周年」はまさにその意味で、一種の災害予知情報であり、重要な自然からの警告発信だとも言える。
1923年関東大震災から、本年は100年。この切りのいい周年はまさに、改めて災害の多いわが国で、100年という時間の流れを逆流させる「災害教訓の継承・更新」の年としなければならない。なお、1923関東大震災についての“定本”とも言うべきものは、中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」が2006年7月にまとめた報告書だ。
ちなみに本紙は、この一両年、関東大震災、首都直下地震関連記事を取り上げている。下記リンクから参考に供したい。
WEB防災情報新聞 2021年10月8日付け:「関東大震災映像デジタルアーカイブ」公開開始
WEB防災情報新聞 2022年6月1日付け:首都直下地震 想定シナリオに想像力で備える
WEB防災情報新聞 2022年6月1日付け:関東大震災から99年 わが国災害史上最悪の教訓
〈2023. 01. 04. by Bosai Plus〉