気候変動での海面上昇対策
東京都は先ごろ、「東京湾沿岸海岸保全基本計画〈東京都区間〉」の改定案をとりまとめ、気候変動の影響による平均海面水位上昇が顕在化しつつあることから、防潮堤の高さを大幅に引き上げる。
東京都は、将来の海面上昇量を、2019年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオに基づき、上限として2100年時点の0.6m上昇と設定。また海面上昇により、南海トラフ地震での想定津波高を引き上げる必要があると判断した。海面上昇だけでなく、潮位偏差や波浪、降雨量の長期的変動も考慮したとしている。
東京の海岸線は、旧江戸川から多摩川までの総延長193.8kmで、そのうち同計画の対象範囲は、「海岸保全区域」に定められた総延長108.0kmの海岸線。さらに海岸保全区域は、防潮堤と内部護岸に分けられ、防潮堤域は総延長約62km。
計画では、そのうち半数となる約30kmがかさ上げの対象となる。防潮堤の高さは現在でも江東地区や副都心地区、葛西地区で最高で8mあり、今回の計画では8mの最高値は維持したうえで、現状での低い個所をかさ上げしていく。かさ上げの高さは、豊洲地区で60cm、晴海地区で80cm、東部地区では最も高い1.4m(場所によって高さは異なる)。
IPCCの見通しでは、今回の設定でも不十分となる可能性も高く、東京都は2100年の計画天端高をめざすが、2070年以降は第2段階の対策が必要との見方を示している。
東京都:東京湾沿岸海岸保全基本計画[東京都区間](改定案/意見募集)
〈2022. 12. 16. by Bosai Plus〉