東電福島第一原発事故 被災地の現状 最前線
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「低線量被ばく問題研究会 第8回研究会」(主催=低線量被ばく問題研究会(大阪経済法科大学21世紀社会総合研究センター))が去る10月29日、神戸大学深江キャンパス(兵庫県神戸市東灘区)で開催され、今回が8回目の研究会として研究会メンバー・学生・一般などオンラインzoom公開も含めて当日は約52人が参加した。
東日本大震災で東電福島第一原発事故により膨大な放射能が放出された。政府は、それまでの法的基準(年間1m㏜)を無視して、「年20m㏜」を避難解除基準とし、住民の反対を押し切って帰還困難区域を除く全避難区域を解除してきた。今回の研究会は「帰還困難区域の現状」について考えることが開催趣旨だ。
■避難解除へ突き進む帰還困難区域の現実
藤岡毅氏(大阪経済法科大学21世紀社会総合研究センター客員教授)の司会挨拶の後、飛田晋秀氏(写真家、福島県三春町在住)による「避難解除へ突き進む帰還困難区域の現実 ~国民の視野から消された恐るべき高線量下の生活~」と題しての講演が行われた。飛田氏は「原発事故後、写真を撮り続けている。撮影時に放射能測定していると数値が高くなっていた。この現実を伝えていきたい」と語った。
山内知也氏(神戸大学大学院・海事科学研究科・教授)がコメントした後、討論では林衛氏(富山大学・教育学部・准教授)がスライドを使用して『震災後の説明が「復興」にふさわしい』について話をした。
■「原発事故」とその「復興」について考え続けることの大切さ
東日本大震災から11年以上経過して、「原発事故」に関するニュース報道を見聞することが減ってきている。事故以来、現地で継続的に実情を報道写真として発信する飛田氏の生の声に接して、「被災地の今」の一端を知ることが出来た研究会だった。このような持続的な活動こそが、「原発事故」とその「復興」のあり方、課題を、広く深く国民に考えさせるきっかけになるのだろうと確信した。
※掲載写真・案内については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・大阪経済法科大学21世紀社会総合研究センター
・YouTube:低線量被ばく問題研究会第8回研究会案内:写真家・飛田晋秀氏の講演:避難解除へ突き進む帰還困難区域の現実~国民の視野から消された恐るへ