大地震で危険なエリアは？ 東京都 「地域危険度測定調査」
都 「危険量は全体として減少、市街地の防災性が向上していることが確認された」――が、安全情報は禁物！
東京都は去る9月9日、第9回目となる「地震に関する地域危険度測定調査」を公表した。この調査は東京都震災対策条例に基づくもので、都内を町・丁目単位で5192の地区に分け、地震での「建物倒壊」、「火災」、「総合」の3つの危険度について5段階（ランク付け）で評価して示すもの。1975年（当時は震災予防条例に基づく）からおおむね5年ごとに実施しており、今回は9回目となる（前回・第8回は2018年2月15日公表）。
建物倒壊危険度では、木造建物について、2016年熊本地震における建物被害実態を加味した建物全壊率を採用するなど、より精度の高い測定方法へ改善している（すべての町丁目に同じ地震動の強さを設定して測定）。危険量は全体として減少しており、市街地の防災性が向上していることが確認されたとしている。
同調査結果については、都市整備局のホームページに調査報告書やパンフレットのほか、調査の概要、町丁目ごとの危険度ランク及び危険度ランク図などを掲載している。また、「東京都防災アプリ」等の提供情報についても更新していく。
●「総合危険度」では、避難や消火・救助活動のしやすさ（困難さ）も加味
１．危険度ランクの町丁目数と構成比率
各危険度はあらかじめ構成比率（前回と同じ）を定めた上で、それぞれの危険量を基に相対評価のランク分けをしている。ちなみに危険度ランクがもっとも低い「1」の町丁目数は2344（全体の45.2％）、もっとも高い「5」の町丁目数は85（1.6％）となっている。
２．地域危険度の測定方法
①建物倒壊危険度
建物倒壊危険度は、地震の揺れによって建物が壊れる危険性の度合いを測定したもの。この危険度は、地盤特性や建物量、建物の種類、構造、建築年次といった建物特性などを考慮し測定した建物倒壊危険量を基に、ランク分けした。
②火災危険度
火災危険度は、地震の揺れで発生した火災の延焼により、広い地域で被害を受ける危険性の度合いを測定。この危険度は、東京消防庁が測定した火気、電気器具の出火率や使用状況などに基づく出火の危険性と、建物の構造や間隔などに基づく延焼の危険性とにより火災危険量を測定し、それを基にランク分けした。
③総合危険度
総合危険度は、建物倒壊や火災の危険性に、災害時活動に有効な空間の多さや、道路ネットワ一ク密度の高さといった道路基盤などの整備状況から評価した避難や消火・救助活動のしやすさ（困難さ）を加味して、１つの指標にまとめたもの
●危険度上位エリアはどこ？ 相対的に安全なエリアは？
「総合危険度」で危険度ランク「5」のうち、1位は都電荒川線の町屋駅前駅の南西側にある荒川区荒川6（前回3位）。2位・荒川線町屋二丁目駅北側の荒川区町屋4（同1位）、3位・JR北千住駅東側の荒川沿いにある足立区柳原2（同11位）。荒川や隅田川が近い荒川、足立、墨田、葛飾など23区東部の6区のまちがランク「5」の4分の3を占めた。ほかに危険度上位には、品川区南西部、大田区中央部、中野区、杉並区東部など。
建物倒壊危険度の高い地域は、古い木造建物が密集する23区東部などに分布。火災危険度の高い地域は、耐火性の低い木造住宅が密集している環状7号線の内側を中心にドーナツ状に分布する状況は変わっていない。
総合危険度で相対的に安全とされた場所は12カ所。中央区浜離宮庭園や葛飾区水元公園、多摩動物公園がある日野市程久保7など、大規模公園の付近となっている。
〈2022. 10. 17. by Bosai Plus〉