北海道胆振東部地震 都市部、盛土上に液状化分布
札幌市調査報告書にある液状化範囲と概ね一致
●現地に赴かず、広範囲に散在する被害範囲を一気に把握
衛星データによる地盤変動監視サービスを展開するEdafos株式会社(東京都豊島区)は、2018年9月6日に発生した北海道胆振(いぶり)東部地震(M6.7、最大震度7)による被害箇所を、SAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー。レーダーの一種で航空機や人工衛星に搭載、移動させることによって仮想的に大きな開口面(レーダーの直径)として働くレーダー)データを用いて抽出した。
この試みは従来からあるが、Edafosでは独自の手法により、解析結果に含まれるノイズを低減、被害箇所を抽出できるようにした。
■背景
被害が広範囲に及ぶ地震災害では、現地に赴き被害箇所を探して歩いて目視で確認するのは大変な重労働で、時間と費用がかかる。しかし、SARデータを解析することにより、現地に赴かず、広範囲に散在する被害範囲を一気に把握することができる。
この試みは、従来から研究者の間では、日本のSAR衛星データを用いてなされていたが、解析結果にはノイズがやや多く載ってしまう傾向にあった。逆に、ノイズを低減しようとすると、被害があるのに抽出されない箇所も出てくる、という問題もあった。
■今回の解析とその特徴
北海道胆振東部地震では、地すべりと液状化が注目された。今回は、植生の少ない都市部で起きた液状化範囲の抽出を目的に解析した結果、被害があったというシグナルを抽出した箇所は、Edafosが現地で液状化を確認した箇所や、札幌市の調査報告書にある液状化範囲と概ね一致することがわかった。また、SARでのシグナルの多くが、盛土上に分布していることもわかった。
さらに、従来の手法では被害が多くなさそうな箇所にもシグナルが点在してしまう傾向にあったが、開発した新たな手法では、そのような余分と考えられるシグナルを7割程度減少させることに成功した。
ちなみに、Edafosは、自然災害発生時に被災した箇所を特定する技術を用いて、ウクライナのキーウ近郊で地表が変化した箇所を抽出し、その画像を公開した。これは、2022年2月中旬に対して2022年3月下旬のウクライナの一部において、地表のどこが変化したかを抽出したもの。
〈2022. 08. 15. by Bosai Plus〉