創刊130周年 防災啓発「365日の防災」をスタート

「防災特集、やってる場合か」――
「(福島)民報よ、特集だけで満足していてはダメ」という自戒とともに

●東日本大震災と福島原発事故 被災メディアとしての矜持

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福島民報「365日の防災」ロゴマーク

 「福島民報」と言えば、とくに東日本大震災以降、本紙も重要な被災地情報発信メディアとしてフォローしてきた地方紙だ。同紙は、1892年(明治25年)2月17日、福島県須賀川市で開かれた自由民権運動指導者河野広中が率いる福島自由党の幹部会の席上、幹部の平島松尾が党機関紙の発行を訴え、同年8月1日、創刊号が発行され、以降、「福島民報」の題字が貫かれているという。

 2011年3月11日発災の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で福島民報は印刷機が一部損傷したため、16ページに減らして発行。津波で勿来支局が床上浸水、小名浜支局の車両が流されて喪失。3月12日、原発事故で県と国から避難指示が出されたため、富岡支局は川内村、浪江支局は南相馬市へ避難。3月13日、twitterで被災者向け生活情報の配信開始している。
 2012年に一連の原発事故報道が評価され日本新聞協会賞(編集「企画部門)を、2014年には「『原発事故関連死』不条理の連鎖」と題したキャンペーンで日本新聞協会賞編集「企画」部門、「『復興大使』派遣事業」で同賞経営・業務部門を受けた。

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「365日の防災欄」より(7月30日付け/第1回)

 その福島民報がこの8月1日に創刊130周年を迎えた。発行元である株式会社福島民報社(福島市)はその前々日の7月30日から、年間を通した防災啓発アクション「365日の防災」をスタートした。同アクションは創刊130年にあたって企画されたもので、紙面や交流サイト(SNS)などを活用し、毎日、災害への備えの重要性を福島県民をはじめできるだけ多くの人びとに呼びかけ、いつ起こるかわからない災害から命を守る意識を高める目的で展開する趣旨だ。

 同紙が特設した「365日の防災欄」ページに、いきなり「防災特集、やってる場合か。」というインパクトのある大見出し――続いてその真意が語られる――「災害はいつ起こるかわからないから、たまに防災特集やっていてはダメ。(福島)民報よ、特集だけで満足していてはダメ」という自戒が込められているのだ。

 その第1回・7月30日の「365日の防災欄」には、「避難指示が聞こえない豪雨災害の恐ろしさとは?」の見出しで、「大雨の際は、雨音で防災無線や消防車両からの緊急の呼びかけが聞こえづらくなる。過去の災害時はラジオや携帯から情報を入手し、住民間で声を掛け合うことが教訓になっている。日々の近所付き合いも心がけよう」とある。

 東日本大震災・福島原発事故を被災当事者として経験した老舗地方メディアとして、まさに矜持を保とうという防災啓発アクションであることは確かだ。

福島民報:365日の防災欄

〈2022. 08. 02. by Bosai Plus

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