自治体が避難計画に「車中泊」を組み入れ始めた
“趣味”の車中泊も踏まえて そのノウハウを押さえよう
●「車中泊」がドライブ旅行のエンタテインメントに
最近、「車中泊」が話題にのぼることが多い。車中泊と聞くと防災関係者は反射的に災害避難での車中泊を思い起こすが、ドライブ旅行中の“趣味”として、道の駅の駐車場などでの車中泊も人気だという。ただし、利用者が増えるにつれてマナー違反も目立つようになって、道の駅では「車中泊お断り」というところも出てきたようだ。
高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)、道の駅での駐車場車中泊は本来、泊まるためではなく、休憩や仮眠のための施設。基本的には車中泊は駐車場などを利用できるが、郊外の空き地などの車中泊の場所選びには自己責任も伴う。私有地や禁止区域などの確認も必要となる。
狭い国土のわが国で車中泊が認められている場所といえば、オートキャンプ場やRV(Recreational Vehicle)パークであり、キャンピングカーなど有料で宿泊可能だ。トイレ付き、電源付き、ごみ処理ができ、温泉利用もできるところがあり、全国に260カ所以上あって、増え続けているという。
●トヨタ自動車が車中避難のポイントまとめ 趣味の車中泊に応用も可
さて、本題。コロナ禍で分散避難が言われるようになって、感染リスクが少ない車中泊が災害時の避難場所(方法)として選択肢に入ってきた。車中泊の弊害として災害関連死に直結するエコノミークラス症候群が心配されるが、その対策を徹底したうえで、自治体には避難計画に車中泊を組み入れ、車中泊用の避難場所を確保し始めているところも増えているという。
震度7が2度続いて起こった2016年熊本地震では、余震も続いたこともあって車中泊をする避難者が多かった。熊本県益城町にある大型展示場グランメッセ熊本の駐車場には当時、車中泊をする避難者で2200台分の駐車場が埋まった。避難者のうち約6割が車中泊をしたという調査もある。
そこで、愛知県豊田市に本社を構えるトヨタ自動車が、南海トラフ巨大地震を想定する豊田市と連携して、車中泊を起因とする「災害関連死」を減らそうと、車中避難生活のポイントをまとめ、職員への研修や啓発にも取り組んでいる。
トヨタの24車種ごとの車内のシートアレンジ(利用法)や車内スペースを広げてベッド化する工夫を紹介している。“趣味車中泊”にも参考になること請け合いだ。
〈2022. 07. 01. by Bosai Plus〉