「半日前=早めの避難」と「直前=ただちに避難」

 「線状降水帯」は、複数の積乱雲が列状に並び、風上側で新しい積乱雲が発生しながら風下方向に移動する現象が繰り返し数時間継続することで集中豪雨を引き起こす。近年の大規模水害でも線状降水帯が多く発生し、自治体による避難範囲の指定や避難勧告・指示のタイミングの判断が困難で、住民の逃げ遅れが課題となっている。

P5 4 線状降水対予測の社会実装 - 「線状降水帯予測」へ 気象庁、<br>観測強化
線状降水帯予測の社会実装で水害からの確実な避難を実現する(同予測技術を研究統括する防災科学技術研究所 資料より)

 気象庁は本年6月から線状降水帯の発生を伝える「顕著な大雨に関する情報」の発表を開始しているが、これはあくまで“発生”情報で「予測」ではない。線状降水帯発生予測の鍵は、風上側の積乱雲の継続的発生と強雨域の停滞を予測できるかだが、気象庁は、被害が相次ぐ西日本を中心に積乱雲のエネルギー源となる水蒸気量の観測を強化することで、近い将来の「半日前」の発生予測と、「直前」の発生予測の2種類の情報の発信をめざす。

 「半日前予測」は「明るいうちから早めの避難」を、「直前予測」は「迫りくる危険からただちに避難」のたてつけだ。2022年度からまず「九州北部」といった広域で「明るいうち」(半日前予測)に発生の可能性を伝える。24年度には、県単位、29年度には市町村単位と対象地域を狭めていく方針。線状降水帯による水害軽減・避難の後押しに、この「予測」が大きく貢献することは言をまたない。

気象庁:線状降水帯の予測精度向上と地域防災支援に向けた取組み

〈2021. 12. 19. by Bosai Plus

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