「防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)
――“非認知能力”を育てよう
「防災教育は、10 年後に地域を支える大人をつくり、
20年後には地域の防災文化をつくる礎である」(提言本文より)
国は2020年年末に5つの有識者会議(以下、「WG=ワーキンググループ」)――「デジタル・防災技術WG(未来構想チーム)」、「デジタル・防災技術WG(社会実装チーム)」、「事前防災・複合災害WG」、「防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)」、「防災教育・周知啓発WG(災害ボランティアチーム)」を立ち上げた。この「1WG+4チーム」がとりまとめた報告書の概要紹介シリーズ・第3回として、「防災教育・周知啓発WG(防災教育チーム)」(座長:片田敏孝・東京大学大学院情報学環特任教授)を取り上げる。
【 防災教育・周知啓発WG 防災教育チーム 提言 】
報告書は冒頭、「防災教育は、10年後に地域を支える大人をつくり、20年後には地域の防災文化をつくる礎。防災教育を災害対応技術を身に付ける教育と狭くとらえるのではなく、地域の大人たちが子どもに背中を見せながら、地域の将来を担う人材を育む大きなプロジェクトととらえ、地域と学校が一丸となって取り組むことが必要」とした。
課題として、地域の災害リスクや正常性バイアス等の防災知識が教えられているか、実践的な防災教育や避難訓練が実施されているかなど、防災教育の詳細を確認できていない状況、幼稚園・保育園と小学校、小学校と中学校との間で、防災教育についてのシームレスな体系が十分に具体化されているとはいえない状況などをあげた。
今後実現を目指す防災教育としては、防災教育をこれから策定される「第3次学校安全の推進に関する計画」の柱に位置づけ、「防災教育新時代」の実践的、効果的な防災教育を提案し、すべての子どもが災害から生命を守る能力を身に付けられる防災教育を全国で展開していくとしている。
なお、防災教育は、「突然起こり得る災害に対し、それまでに蓄積した知識や経験から最適と考える判断をし、主体的・内発的に避難する態度を育成する。自分と周囲の人たちとの間の愛、他人を思いやる心などを育みながら、自助、共助の意識を高める。避難訓練で高齢者を支援する経験を通じ、自己肯定感や自己有用感を持った子どもたちが増え、自主的な学びにも繋がっていく」とし、「防災教育は、そうした非認知能力(やり抜く力、回復力、リーダーシップ、主体性、社会性、共感力、想像力、自己肯定感、他者への配慮、論理的な思考力など人間力や生きる力)を育てるのに最適な手段」だとしている。
内閣府(防災担当):防災教育・周知啓発WG 防災教育チーム 提言
〈2021. 08. 01. by Bosai Plus〉