茨城、埼玉、徳島、高知 最大3割アップ、地域差広がる
損害保険の基準料率の算出や損害調査、保険データの収集・分析を行う損害保険料率算出機構は、地震保険の基本料率を全国平均で0.7%引き下げる届出を、去る6月10日付けで金融庁長官に行った。東日本大震災後、一貫して引き上げが続いていたが、最新の予測モデルを反映し、引き下げが可能と判断したもの。
算出機構では改定の主な背景・ポイントを、①2017年1月から実施した3段階改定中の保険料不足の解消、②各種基礎データの更新、③所在地・構造別の基本料率の見直し(激変緩和措置など)、としている。これにより、金融庁の審査を経て2022年度にも損害保険各社が保険料率を改定する。引き下げは07年以来。ただし、茨城、埼玉、徳島、高知の4県は最大で約3割引き上げるなど、地域差は広がる。
地震保険は家庭向けの火災保険に付帯し、地震による揺れや津波、火災の被害を補償する。保険金額は建物5千万円、家財1千万円まで(火災保険金の3~5割の範囲内)。保険料は都道府県や建物の構造で異なる。政府と損保業界の共同事業で、どの加入会社でも補償内容や保険料は同じとなっている。
地震保険料率は、東日本大震災後、料率機構が地震調査研究推進本部の地震発生予測モデルの変更などを反映して、引き上げ幅を分割して実施してきた。直近の改定は21年1月で、震災前と比べると全国平均で3割超引き上げた。今回はそれに続く改定で震災後初めての引き下げ。耐震性が高い住宅の普及などを反映した。
ただ、茨城、埼玉、徳島、高知の4県の耐火建造物は最大約3割の引き上げ(例:保険金額1000万円の場合、年間5千円以上の負担増)のいっぽう、千葉県・東京都・神奈川県は据え置き、大分県の非耐火建造物では47%引き下げるなど地域差が大きい。
地震保険の契約率(火災保険加入者のうちの付帯率)は全国平均で7割弱で、もっとも高いのは宮城県87%、低いのは北海道・佐賀・長崎・沖縄の50%台。東日本大震災の10年度と比べると、福島、熊本で伸び幅が30ポイント以上となっている。
〈2021. 06. 14. by Bosai Plus〉