全国の都道府県・政令市を対象 中小河川の管理実態
――復建技術コンサルタント
近年の風水害では中小河川の氾濫や溢水による被害が少なくない。わが国の河川の9割以上は国の管理ではなく、自治体管理のいわゆる中小河川となる。ハザードマップの浸水想定区域の予測も中小河川についてはまだ不備なところが多く、防災士など自主防災の地域防災活動での大雨時などの住民避難支援活動では、中小河川の水位などへの警戒もますます重要となっている。
そこで株式会社復建技術コンサルタント(仙台市)では、全国規模で中小河川の維持管理実態を把握するため、東北大学災害科学国際研究所、株式会社サーベイリサーチセンター(東京都荒川区)協力のもと、各自治体へアンケート調査を実施。出水期を迎えるにあたり、中小河川の管理実態を広く知ってもらおうと、その調査結果を公表した。
それによると、高齢化・人口減少、財源不足などを背景に多くの自治体では堤防除草や台帳整備、定期横断測量などの河川維持管理が十分にできていない。このなかで、道路や河川、公園など公共施設の維持管理を地域住民(ボランティア)に委託する「アドプト制度」について、約8割の自治体がアドプト制度・河川愛護会(河川清掃などのボランティア)を活用しているという。
また、堤防異常箇所発見時の連絡や不法投棄の監視、流木発見時の連絡を依頼している自治体は1割前後だった。防災士など地域の多様な主体の連携のかたちとして「アドプト制度」を再認識し、見直したいところだ。
〈2021. 06. 08. by Bosai Plus〉