厚岸町「津波シミュレーション動画」より

わが町を襲う巨大津波……
原子力災害の防災・避難訓練をアバター分身で
仮想体験 オンライン防災のリアル

●見慣れたまちが巨大津波に襲われる 仮想世界のリアリティを実感

 北海道から東日本の東北北部太平洋側に延びる日本海溝・千島海溝沿いで起こる海溝型地震について、国は昨年(2020年)4月、過去最大級の地震が発生した場合の最大津波高の推計結果を公表した。千島海溝と日本海溝で、それぞれマグニチュード(M)9.3、M9.1の過去最大級の地震を想定。その結果、市町村別で最も波高が高いのは岩手県宮古市の29.7m、次いで北海道えりも町の27.9m。日本海溝の地震では、岩手県北部の一部では東日本大震災を超す津波高となっている。

P3 1 厚岸町「津波シミュレーション動画」より - 厚岸町津波シミュレーション<br>/原子力災害仮想訓練
千島・日本海港超巨大地震の発生は切迫している?――厚岸町の津波想定波高は21.4m。この想定を可視化したCG動画を厚岸町が作成・公開

 日本海溝・千島海溝沿い海溝型地震の発生は切迫していると見られ、北海道厚岸町の推計波高が21.4mとされたことから、厚岸町では津波で最悪の事態が発生した場合を想定し、普段見慣れた町の風景に津波が襲来した場合どのような状況になるのか、より具体的にイメージできるよう、湖北地区、湖南地区、床潭地区の3地区に津波が押し寄せる様子をコンピューターグラフィックス(CG)の技術を用いて再現し、公開している。

>>北海道厚岸町:厚岸町防災啓発動画(津波シミュレーション動画)を作成

●原子力災害を仮想で実践演習 アバター(分身)によるトリアージも

 いっぽう、福島圏域の地方紙・福島民友(新聞)によると、県立福島医科大学が1月21日、仮想空間で原子力災害訓練に臨める仮想訓練ソフト「カワウチ・レジェンズ」を活用した実践演習を行ったと報じた。福島医大と長崎大学の大学院生らが参加し、仮想空間上でアバター(分身)を操作しながら災害を想定した訓練に取り組んだという。

P3 2 仮想訓練ソフト「カワウチ・レジェンズ」(Mark on資料より) - 厚岸町津波シミュレーション<br>/原子力災害仮想訓練
原子力災害では仮想防災訓練が有効だ。目に見えないリスクのなかで、アバターがトリアージなどの放射能リスク対応にあたる。仮想訓練ソフト「カワウチ・レジェンズ」(Mark-on資料より)

 このソフトは、新型コロナウイルスの影響が続くなかで、「3密」を避けながら東京電力福島第1原発事故の教訓を次世代につないでいこうと福島医大が開発したソフトで、同アプリケーションを開発したMark-on社によると、発災現場で患者をトリアージするシーン――例えば、教員側が患者として参加し、自分の身体情報を設定することで、その患者に対してどのような対応をするのかを実践・議論できるという。

>>福島民友:原子力災害、アバター操作で仮想訓練 福島医大開発ソフト活用

〈2021. 02. 01. by Bosai Plus

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