既存の道路を活用、津波避難ビルなどの代替場所に
国土交通省は、東日本大震災を教訓に、道路の高架区間などを津波や洪水時の緊急避難場所として活用する取組みを進めている。昨年(2020年)とりまとめた「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」の一環として、この取組みを一層推進するため、昨年9月、津波・洪水の浸水想定より高い道路区間を下記のように抽出した。
今後、抽出区間の詳細を該当市区町村に情報提供するとともに、緊急避難場所として活用するニーズがある箇所について、避難施設等の整備に向けて各市区町村と調整しているところだ。
○津波・洪水の浸水想定エリアと重複する道路区間のうち、浸水想定より高い道路区間の抽出結果
・抽出延長:
高速道路 970 km 該当市区町村:280
直轄国道 810 km 該当市区町村:300
計 1,780 km 486
*重ねるハザードマップ(津波・洪水の浸水想定)および各道路管理者データにより抽出
*高速道路と直轄国道の該当市町村には重複あり
高速道路は交通事故の危険性から原則、立ち入ることはできないが、付近の住民が津波や水害から逃げ込めるようにする。自治体などが新たに津波避難ビルなどを造るよりもお金も時間もかからないこともあり、緊急的な避難場所としての利用が有効となる。首都高速や阪神高速など交通量の多い大都市部の高速は消防や警察、物流確保のための緊急道路としての利用を優先するため、除外される。
国土交通省は、既存の道路を活用し、道路上の避難場所を全国でさらに増やす方針。2020年度末までに増設箇所を正式に決め、25年度末までに完成をめざすとしている。
>>国土交通省:道路高架区間等の緊急避難場所としての活用について市区町村と調整
〈2021. 01. 22. by Bosai Plus〉