「仙台市-BOSAI-TECHイノベーション創出プログラム」HPより

仙台発、世界へ――
「仙台 BOSAI-TECH イノベーション

産官学連携、東日本大震災からの復興支援プロジェクトの一環。
地球規模の災害リスク軽減への貢献も展望

●震災の教訓を仙台から世界に発信する

 「BOSAI-TECH イノベーション創出プロジェクト」が仙台市と福島県の主導で本格化している。プロジェクトは、「BOSAI産業」(災害救援・予防関連産業)のイノベーションを刺激し、東日本大震災からの復興を支援するための「RBC地域ビジネス会議)プロジェクト」(RBC:Regional Business Conference 2020)の一環で、仙台市ではこれを、「最終的には地球規模の災害リスクの軽減にも貢献する可能性がある」として推進している。

>>仙台市:BOSAI-TECH RBC防災イノベーションプロジェクト

P5 1 「仙台市 BOSAI TECHイノベーション創出プログラム」HPより - 仙台市「BOSAI-TECHイノベーション」
「仙台市 BOSAI-TECHイノベーション創出プログラム」HPより

 仙台市は、世界の主要な政策課題の一つで、SDGs(エス・ディー・ジーズ:Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)に明記される「仙台防災枠組2015-2030」の下で、災害救援・予防関連産業の社会イノベーションを推進しており、「仙台防災枠組」では「2030年までに世界の災害による死者数を大幅に減らす」など7つの目標を掲げ、事前防災から発災後の復興まであらゆる利害関係者が関わっていく必要性を訴えている。
 いっぽう、福島県は被災地やインフラの利用環境のシミュレーションに役立つ最新のロボットテストフィールドを用意している。

 これらを受けて仙台市と福島県は、オンラインピッチイベント(起業家・ベンチャービジネスと事業会社・投資家をプレゼンテーション用ピッチ動画でつなぐイベント)を通じて世界中から革新的なソリューションを求めており、この投資プロジェクトでビジネスマッチングの機会も提供。災害リスク軽減事業を日本および世界市場に拡大することに関心のあるすべての国際企業や新興企業をプロジェクトに巻き込もうというものだ。

P5 3 仙台防災枠組より - 仙台市「BOSAI-TECHイノベーション」
「仙台防災枠組」より

●「BOSAI」は世界の共通語――東北大災害研による「防災ISO」創設も視界に

 仙台市の「BOSAI-TECH」は、いまや災害リスクの軽減から復興・復興までを包括する便利で伝統的な日本語の用語となった「BOSAI」(防災)を世界の共通語として、最先端の技術による革新的な解決策を模索してきたことから命名されている。仙台市は、東日本大震災を経験した後も、同様の大災害を回避するために、最先端技術を駆使したBOSAIコンセプトの開発をめざす取組みとして位置づけている。

 いっぽう「地域ビジネス会議(RBC)」は、2018年からJETROと経済産業省(METI)が開催する日本の地元企業との直接投資とコラボレーションを促進するプログラム。海外企業の誘致に積極的に取り組んでいる市町村とともに、特定の地域への投資に関心のある海外企業を日本に招待、市町村の代表者が海外企業に地域の魅力を説明し、海外企業と地域企業とのビジネスマッチングイベントを開催している。

P5 4 JETRO国際ビジネス情報番組で公開、「防災に外国企業のアイデアを生かすーフィンランドと連携する仙台市の取り組み—」 - 仙台市「BOSAI-TECHイノベーション」
JETRO国際ビジネス情報番組で公開、「防災に外国企業のアイデアを生かすーフィンランドと連携する仙台市の取り組みより

 仙台市は本年11月末から国内大手4社(第一生命保険、NTTドコモ、東京海上日動火災保険、三井物産子会社・三井情報)と海外のIT企業のマッチング事業に着手、海外企業の誘致などに取り組んでいるほか、防災分野での新たなサービスや技術の開発を検討している。
 ちなみに先ごろ開催されたオンライン説明会では、NTTドコモは災害発災時に避難ルートの確認や要救助者の早期発見ができる仕組みを検討、第一生命は発災後に心身の健康維持を支援するアプリ、三井情報はインフラの損傷具合を把握するシステムの拡充などを共同で開発するパートナーを募った。
 同オンライン説明会には14カ国・地域、35社が参加した。年内に海外のパートナー企業を最大9社を選び、2021年3月上旬までに具体的なサービスを提案してもらう。

 さらに、東北大学災害科学国際研究所(以下、「東北大災害研」)では、「BOSAI-TECH」によって開発される防災関連製品やサービスについて、その技術の国際規格化「防災ISO」の創設をめざしている。「防災ISO」は、早ければ2023年度の発効をめざしており、21年度以降の共同開発の段階では、東北大災害研がデータや最新の知見を提供し、事業を通じて生まれた技術やサービスを国際規格として世界に普及させやすいよう支援していく予定だ。国際標準化機構(ISO)は去る10月、「防災ISO」創設に向けたワーキンググループを正式に発足させ、防災産業を育てる国際ルールづくりが始まっている。

〈2020. 12. 21. by Bosai Plus

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