住民は『自らの命は自らが守る』意識の徹底を
地域は避難情報等を活かすために
地域の防災体制等の強化に尽力を
●「避難勧告」と「避難指示」を一本化、「避難指示」に
「避難準備情報」は、対象を明確にして、「高齢者等避難」に
激甚化・頻発化する水害・土砂災害に対し、避難対策の強化を目的とした災害対策制度の見直し等を検討することを目的として、内閣府(防災担当)の「2019(令和元)年台風第19号等を踏まえた避難情報及び広域避難等に関するサブワーキンググループ」のもとに設置された「避難情報等 サブワーキンググループ(以下、「SWG」)」 (座長:田中 淳・東京大学大学院情報学環特任教授)。その第6回会合が去る12月10日に開催され、これまで水害や土砂災害発生の恐れがあるときに自治体が出す「避難勧告」と「避難指示」を一本化、名称は「避難指示」とすることを軸に今後検討を進める方針が決定された。
また、高齢者や要支援者などに避難を呼びかける「避難準備情報」は、対象を明確にしていち早い避難につなげるため、名称を「高齢者等避難」に変える。
同SWGは、2019年5月に導入した5段階の警戒レベルの大雨警戒レベルと、避難情報の改善に向けて検討を続けてきた。10日の第6回会合で、レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」について、昨年の台風19号など、近年の災害でも高齢者の犠牲が後を絶たないことから、情報の対象をわかりやすく表現し、いち早い避難につなげるため「高齢者等避難」に名称を変えることで一致した。
また、レベル5の「災害発生情報」は、「住民がどう対応していいのかわからない」などの意見が出されたことから、「緊急安全確保」に変更する方針で一致した。いっぽう、状況が切迫しているときや災害が発生しているときに、上の階などへの「垂直避難」などについて、その場でとれる最善の行動を呼びかけるとしているが、必ずしも発表されるとは限らず、情報を待つべきではないとしている。
これらの方針は今月中に最終取りまとめを公表、これを受けて内閣府は2021年の通常国会で災害対策基本法の改正案提出をめざす。改正が行われると、1961年に同法が制定されて以来初めての見直しとなる。
同とりまとめ冒頭において、SWGは、「住民は『自らの命は自らが守る』意識を徹底し、適切な避難行動をとるよう努め、地域は避難情報等を活かすために地域の防災体制等を強化するとともに、行政はわかりやすい避難情報を提供するなどして、住民避難を全力で支援していくことが重要。今出水期においても、2020年7月豪雨をはじめ、多くの方が水害・土砂災害の犠牲となっている。必要な検討や対策を着実に進め、水害や土砂災害で命を失う人が一人でも少なくなるよう、防災意識の高い社会を一日も早く構築しなければならない」と断じている。
今回の避難情報の修正・改善で、わかりにくいと言われた避難情報にさらに混乱が生じることも十分考えられる。地域防災の一翼を担うまでに成長した防災士をはじめとする自主防災による近隣住民へのわかりやすい避難情報提供、そして早期避難の啓発の役割がこれまで以上に大きくなっていることは言うまでもない。
>>内閣府(防災担当):「避難情報等 サブワーキンググループ(SWG)」 第6回
〈2020. 12. 20. by Bosai Plus〉