新刊 川村匡由・著
『防災福祉先進国・スイス
災害列島・日本の歩むべき道』
意外に“防災大国”スイス
日本の「防災福祉コミュニティづくり」への道すじを示す
今年2020年は明治中期から昭和初期に活躍した物理学者、地震学者寺田寅彦没後85年。寺田の災害、防災への洞察力と箴言・警告はいまもって輝きをもって甦る観がある。寺田は小編随筆集『天災と国防』で、天災は戦争と異なり、「最後通牒も何もなしに突然襲来するから国家を脅かす敵としてはこれほど恐ろしい敵はない。陸軍海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって備えよ」と書いている。
これに共鳴するかのように、東日本大震災の教訓を踏まえて発表された中央防災会議・防災対策推進検討会議の「最終報告~ゆるぎない日本の再構築を目指して~」の“宣言”は、「災害から国民を守り、その営みを守り、さらには国を守る。このことは、軍事的・人為的な脅威から国や国民を守ることに決してひけをとらない、国家の重大関心事項で、政治の究極の責任のひとつでもある」とした。
そしていま、川村匡由(まさよし)著『防災福祉先進国・スイス 災害列島・日本の歩むべき道』が、これらに共鳴するかのように上梓された。
著者は武蔵野大学名誉教授で、専門は社会保障・地域福祉・防災福祉。同書のキャッチコピーには「スイスの危機管理に学ぼう、核シェルターで半年間、在宅避難」とあり、コロナ・ショック、首都直下・南海トラフ地震の脅威にさらされる日本での防災福祉コミュニティづくりの道すじを示すとしている。
スイスの災害対策と言ってもピンと来ないかもしれない。スイスといえば歴史的には大国に囲まれた永世中立国で国民皆兵の自衛が知られるが、平和・牧歌的な印象も根強い。
ところが実は、地球温暖化の影響で氷河融解、川の氾濫、雪崩などの水災害に加えて、バーゼルの街が全壊した1356年大地震(M6.5)の再来を警戒しているというのだ。
いまはスイス国民は兵役の代わりに防災訓練への参加を選択できるいっぽう、自然災害保険加入が義務付けられ、補助金を利用して自宅や集合住宅に建設する核シェルターに、災害時に2カ月分の食料や物資を備えている。
「脱・限界集落はスイスに学べ」などの著作もある筆者は、豊富な現地取材をもとに、平時から災害時までの社会福祉のあり方について、日本との違いを述べていく。
>>旬報社:防災福祉先進国・スイス~災害列島・日本の歩むべき道
〈2020. 07. 16. by Bosai Plus〉
武蔵野大学の川村匡由です。このたびは拙著「防災福祉先進国・スイス」をご紹介してただき、誠に恐縮、かつ光栄で深く感謝します。社会保障を主とした研究を行っていますが、この30年間、江戸時代中期の「浅間山天明の大噴火」を機に、地域防災と地域福祉を融合した防災福祉コミュニティの重要性を提起したく、日本でほとんど知られていないスイスの社会保障・有事・災害対策を紹介したものですが、山村の防災・減災にも力を入れており、「脱・限界集落はスイスに学べ」農文協なども出版、来年6月、神戸大学の地域看護学の先生方のご依頼で現地視察ツアーの同行講師を依頼されています。
また、この8~9月、「脱3密感染・被災のススメ」旬報社も姉妹編として刊行予定ですので、これを機に、今後ともご指導いただければ幸いです。ありがとうございました。
川村匡由 先生
コメント投稿ありがとうございました。
編集部の手違いで、レスポンス(御礼の返信)が大変遅れましたことをお詫び申し上げます。
「防災福祉」は本紙の重要テーマのひとつであり、今後とも先生のご著書・ご知見等をフォロー・紹介させていただきたいと存じます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
防災情報新聞 編集部