地理情報技術研究所が
「台風19号 千曲川の洪水被災地区」を調査・分析
被災地区の年齢別人口、避難所への移動距離などを要件に、
避難所配置の再構築を
特定非営利活動法人地理情報技術研究所(東京都新宿区)は、2019年台風19号による長野市千曲川の洪水被災地区に対する調査を2019年10月15日~11月27日に行い、12月6日にその結果と分析を発表した。それによると、台風19号による長野市千曲川の洪水被災地区は、長野市洪水ハザードマップと見事に重なり合い、ハザードマップの重要性が立証されたとしている。
台風19号による長野市千曲川の洪水被災地区の面積は9.4km2となり、長野市が作成した洪水ハザードマップと一致。また、洪水被災地区の推計人口は4400人で、高齢者が38%を占めており、避難所への距離は長野市の中心部と比較すると2倍となることがわかった。
◆長野市が作成した洪水ハザードマップとの重ね合わせ
台風19号による長野市千曲川の洪水被災地区(左図の水色地区)は14の大字に及び、その面積は9.4km2に広がった。長野市が作成した洪水ハザードマップと洪水被災地区を比較したところ、図のように一致した。洪水ハザードマップ(赤色は洪水想定地区)と洪水被災地区(青線)を重ね合わせると見事に重なり、ハザードマップの重要性が実証された。今後の自然災害の被害の軽減のために、ハザードマップを活用した防災・減災対策が必須となるとみられる。
◆洪水被災地区の人口ピラミッドと年齢層別人口数と構成比
また、洪水被災地区の推計人口は4400人で、高齢者が38%を占め、とくに注目されるのは、被災人口の2割が75歳以上の後期高齢者で900人に達している。
◆洪水ハザードマップ、洪水被災地区、洪水避難所への移動距離の重ね合わせ
洪水避難所(左下図の赤丸)は2カ所が指定されているが、いずれも2km以上と遠く、避難所への移動距離(棒グラフ)の平均に比べ2倍であることがGIS分析(デジタル地図での分析)から明らかになった。ハザードマップから被害想定のエリアを把握することで、避難所の最適化など再構築が必要となる。
縦棒は避難所への移動時間を表し、水色の被災エリアは、長野市の中心部と比較をすると2倍以上の移動時間がかかる。高齢者が多いことから避難所への移動に困難が伴うと想定される。
今後の自然災害の被害軽減のためには、ハザードマップの認識の向上、高齢者への対応、避難所の適正配置などの面で対策を講じる必要がある。
なお、地理情報技術研究所は、地理情報システム(GIS)とAIを用いてビッグデータを分析し、チェーンストアに対する新規出店、店舗の最適化の課題などに取り組んできた。また、飲食チェーンの売上好調店と売上不振店の分析、フィットネスクラブの新規出店戦略、ショッピングモールの売上シミュレーション、カーディーラーの閉店計画シミュレーションなど幅広い調査・分析活動を行っている。
>>特定非営利活動法人 地理情報技術研究所
〈2019. 12. 20. by Bosai Plus〉