簡単操作の「小さな浄水場」
~JFEアクアサービス機器~
「気候変動・災害対策Biz」展から非常用コンパクト浄水装置
新たなビジネス展示会「気候変動・災害対策Biz(第1回 環境・再エネ・レジリエンス展)」が去る12月4日〜6日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。これは気候変動を抑止するための環境・再生エネルギー技術のほか、災害に対するレジリエンス(復元力・回復力)を高める防災・減災ソリューションを一堂に集結させようという新しいコンセプトの第1回の展示会で、日本経済新聞社と日経BPの共催。同展示会は「SDGs Week」として「社会インフラテック2019」、「エコプロ2019」と同時開催し、相乗効果を図った。
JFEエンジニアリング株式会社(東京都千代田区)の100%子会社であるJFEアクアサービス機器株式会社(静岡県掛川市)は、非常用コンパクト浄水装置『水姫』(みずひめ)を12月4日付けで発売開始し、また、JFEアクアサービス機器は同日から6日まで東京ビッグサイトで開催された「気候変動・災害対策Biz」展に『水姫』を出展し好評を博した。
わが国では自然災害が頻発しており、水や電気などのライフラインが寸断された状況での衛生環境の確保が求められている。とくに生活に最も必要な水は、飲用として1人あたり3ℓ/日、洗濯や洗浄などの生活用水まで含めると15~30ℓ/日が必要と言われている。近年、自治体などの指定避難所ではペットボトル飲料水の備蓄が進んでいるが、飲用以外の衛生上必要な生活用水までペットボトル水で十分賄うことはできないのが現状だ。生活用水が不足すると体調悪化や、感染症の拡大といった健康リスクを引き起こす恐れがあるからだ。『水姫』は、災害時に避難所で必要な生活用水を必要なだけつくるために開発された商品で、浄化された水は洗濯水、洗浄水、浴用水など様々な用途に安心して使うことがでる。水源はプール、河川、井戸、池、雨水などを想定している。
『水姫』の最大の特徴は35kgという軽さだ。重く扱いにくいエンジンではなく、軽量のモーターを内蔵しており、家庭用コンセント(100V)を電源にできる。停電時は市販のポータブル発電機などの使用を想定する。浄水能力は時間当たり最大480ℓで数百人規模の避難所の生活用水を賄うのに適している。
だれでも簡単に扱える操作性も特徴だ。とくに殺菌剤は錠剤を殺菌タンクに入れるだけで自動的に適量が浄化水に注入される仕組みで、液状の殺菌剤の注入や濃度調整を手で行う必要がない。浄化水の水質も高性能の中空糸など3段階のフィルターで濾過されていることから大腸菌などの菌類を完全に除去できる。
このような高い浄化性能にもかかわらず、同社が飲料水ではなく生活用水を用途とした理由は、装置の性能ではなく災害時における飲料水認定のむずかしさと、ペットボトル水の備蓄が近年普及しているためだ。どれだけ高性能な浄水装置で浄化された水でも飲料水として認定するには、たとえ災害時であっても所定の水質検査が必要だ。
しかし、災害時に多くの避難所すべてで迅速な水質検査は現実には困難であると想定し、飲料水は最も安全で飲み慣れたペットボトル水の備蓄を優先させ、飲料水の何倍も必要な洗濯水、洗浄水、浴用水といった生活用水を飲料水並みの水質で浄水装置から供給することを主な用途とした。
『水姫』の価格は消費税抜83万円という低価格で、交換用予備膜が1セット含まれる。交換用の膜は1セット消費税抜5万円で別途購入もできる。
JFEエンジニアリンググループは都市ごみ焼却施設、水処理プラント、エネルギープラントなど大規模な公共インフラを主に設計・建設する企業グループ。災害時でも安全安心な公共インフラを提供する目的で、防災関連製品を今後も開発・投入していく方針だ。
>>JFEアクアサービス機器株式会社:非常用コンパクト浄水装置『水姫』の発売
〈2019. 12. 15. by Bosai Plus〉