「高粘度液体」で延焼防止・燃焼抑制
横浜市旧邸へ寄贈
工学院大学建築学部の研究グループ(後藤治教授、田村雅紀教授、村上正浩教授)と、能美防災株式会社は、茅葺き屋根など伝統的建造物における発災時の延焼防止・燃焼抑制効果を持つ「高粘度液体」を用いた消防技術を産学共同で開発した。
このところ、世界遺産「首里城跡」の上に復元されていた首里城(那覇市)全焼の衝撃に続いて、世界文化遺産登録・白川郷(岐阜県白川村)近くで物置小屋と配電設備小屋が全焼するなど、文化財等の防火体制・対策が大きな課題として急浮上している。
工学院大学研究グループの今回の消防技術開発は、とくにこうした茅葺き屋根などが使われた伝統的建造物の火災の拡大や延焼を防止することに効果を持つもので、これまでの技術と異なり、「高粘度液体」は水に比べて流れ落ちにくいために散布量が少なく済み、水源の節約が可能だという。同開発の一部は、消防庁「消防防災科学技術研究推進制度」による研究成果で、実験については東京理科大学の協力を得た。
文化財防火管理関係者からこうした技術が注目されている折から、この技術を利用した装置が早速、横浜市が整備中の金沢八景権現山公園(神奈川県横浜市金沢区)にある旧円通寺客殿に寄贈されることが決定されている。
>>工学院大学:伝統的建造物の新たな消防技術を産学共同で開発
〈2019. 12. 04. by Bosai Plus〉