TV版『日本沈没』の復元演奏を含む奇跡の音楽祭
破格の想像力と、巧みな筆致、それらを支える細かなディテールとリアリティ。『日本沈没』の小松左京の世界観は、“国難”的な大規模災害が想定されるわが国で、いま改めて注目されている。『日本沈没』は1973年の上梓以来、ラジオ、映画、テレビとさまざまな形で作品化されてきた。先のBSプライム(テレビ番組)「深読み読書会」は「戦後最大の問題作?!」としてこれを取り上げたが、そのインパクトはストーリーや映像だけでなく、実は、音楽にも大きな魅力がある。それらの音楽を作曲したのは佐藤勝、田中正史、広瀬健次郎など、いずれも日本の映画・テレビ界を支えた巨匠作曲家だった。
しかし、その楽譜は様々な理由から散逸してしまったという。それが今回、有志による奇跡的な執念の“耳コピ復元”で上演可能となった。これらの作曲家に光を当て、小松左京の想像力から派生した音楽を集めて音楽祭を行おうと集まった有志とは、映画「日本沈没」(2006年版)の監督であり「シン・ゴジラ」でも知られる樋口真嗣監督、映画評論家であり映画監督である樋口尚文氏、音楽プロデューサーの西耕一氏、そして小松左京のマネージャーであった乙部順子さんが加わり、音楽祭への新たな“D計画”(『日本沈没』中の日本脱出計画)が動き出したのだ。「小松左京音楽祭」は11日30日、成城学園澤柳記念講堂ホールで開催。演奏は松井慶太指揮オーケストラ・トリプティークと金属恵比須。
>>株式会社スリーシェルズ:「小松左京音楽祭」
>>世田谷文学館:「小松左京展 -D計画-」(10月12日〜12月22日)
〈2019. 10. 21 . by Bosai Plus〉