広島市防災士ネットワークが、公益社団法人砂防学会の協力を得て、「平成30年7月豪雨災害(広島県)体験談集」を今年(2019年)3月刊行した。
このとりまとめにあたったのは同ネットワークを立ち上げた代表世話人・柳迫長三(やなぎさこ・ちょうそう)さんだ。柳迫さんは消防署を定年退職後、嘱託で指導員を務め、その後広島市安佐北区役所の地域おこし推進課で、町内会の防災関係の指導などを行っていた。この間、2014年の広島豪雨、17年の関東・東北地方豪雨災害を経験・見聞し、被災者の声を聞き取りとりまとめた小冊子『平成26年8月20日広島豪雨災害体験談集』、『平成27年9月関東・東北豪雨災害体験談集』を発行している。 そして、今回の冊子『平成30年7月豪雨災害体験談集』は、“シリーズ”としては3作目となる。
一般社団法人助けあいジャパンのインタビュー取材に柳迫さんは、こうした豪雨被災者の体験談が“シリーズ化”したことに「これが最後になってほしい」と願いながら原稿依頼・編集したと語る。
「TVや新聞では、よくしゃべる人たちが取り上げられるが、真実はそれだけではないと思っている。自分たちはこんなことをやった、よく頑張った、で終わりがちな報告書ではなく、ただ伝えたい、伝承したい、その気持ちが一冊の本になった」と。
体験談は町内会や社会福祉協議会といった「枠」を超えて、垣根なくさまざまな人の声を集め、書くのが苦手な人もありのままを一所懸命書いてくれたとも。
柳迫さんは、冊子の巻頭で「今を生きる私たちと将来再び災害を経験するであろう後世の諸君に対し大きな影響力を持たせるため、体験談を繰り返し読んでいくことが重要」としている。
>>助けあいジャパン:「平成30年7月豪雨災害体験談集」~防災士が集めた、マスメディアに載らない「ことば」
〈2019. 08. 03. by Bosai Plus〉